やれやれ、と言いたげに肩を竦めたレグルスを見て、二人はこの少年もそれなりに苦労してるんだなぁ…と感じる
「で?『おちびちゃん』の代わりのあだ名って何だ?」
耶人に訊かれて、視線を考え込むように上に向けると
「ん〜と…言葉の意味は知らないけど、つけた奴の故郷の言葉だって、『バンビーノ』ってさ」
その言葉を聞いたテンマは思い切り吹き出し、腹を抱えて笑い出す、その反応に二人は眉を寄せる。
「お前、言葉の意味知ってるのか?」
怪訝そうに耶人が問うと、テンマは笑い過ぎて涙目になりながらも首肯いて返す
「なぁ…レグルス、アルデバランの弟子のサロ、知ってるか?」
「うん、会ったことある。三人の中で一番ちっちゃい奴だろ?」
それを聞いてテンマは言葉を続ける
「いいか『バンビーノ』ってのは、あれよりも小さい子供…はっきり言ったら『赤ん坊』って意味だぜ」
言い終わると同時に、また笑い出すテンマ、それを聞いて耶人もまた思い切り吹き出して笑い出した。
レグルス一人がその大きな目を瞬かせて頬を紅潮させる。
「二人とも悪い!俺ちょっと行かなきゃいけないとこできた!また今度な!」
そういい残すと、レグルスは慌しく走り去っていった
「忙しない奴だな〜…いつもあの調子なのか?」
「今までの行動パターンからすっと、あだ名つけた奴に文句言いにいったんだろな」
白羊宮まで駆け上がると、探している人物は白羊宮の守護者と雑談に興じているところだった。
「シオン!そいつ捕まえといてくれ!」
レグルスの言葉にシオンはというと(お前、何したんだ?)と言いたげに隣に立つ人物を見やる。
「別にシオンに捕まらなくても逃げねぇよバンビ…」
「だ・れ・が・赤ちゃんだぁぁぁぁ!」
マニゴルドの言葉を遮るようにレグルスは声変わりしたばかりのまだ高い声を張り上げた。
「誰だよ、コイツに意味教えた奴」
それで事情が飲み込めたらしいが、全く悪びれる様子も無く
隣に居るシオンに問いかけるだけだ
冒険小僧(一部抜粋)